五行論とは
〜治療に応用した五行論〜
古代人は、人間の生活や健康となんらかの関係のある現象や物質を5つの基本的な要素に分類しました。
5つの要素とは、木・火・土・金・水でこの基本要素に季節や臓腑(漢方でいうところの内臓)や食べ物などと関連づけ病気との関連が浮かび上がってきました。
下の図は、それぞれの関連を表している表です。
例えば木の要素には、春という季節が割り当てられていて臓腑は肝・胆となります。
肝は目や筋肉を管理しています。ここから何がわかるのかというと春という季節には、肝臓が悪くなりやすく症状として、目の赤みやイライラや筋肉のひきつれがあらわれます。
足が引きつる症状などは、肝臓が問題の場合が多いと考えることができます。
また肝は酸味によって栄養されるので肝が弱っているときは、酸味のあるものを食べればよいことになります。
火の要素には、夏が割り当てられていて臓腑は心・小腸となります。
夏には、心臓に負担がかかりやすく高血圧などの症状が強くあらわれます。
心は、苦味によって栄養されるので心が弱っているときは、苦味の強いものを食べるとよいことになります。
土に要素には、長夏が割り当てられ臓腑は、脾胃(消化器)となります。
脾胃は唇や肌を管理しています。長夏には、唇が荒れやすくなります。
脾は、甘いものによって栄養されるので、甘いものを食べるとよいことになります。
金の要素には、秋という季節が割り当てられ臓腑は肺・大腸となります。
肺は、鼻や皮を管理しています。皮膚病は皮にあたるので、肺・大腸を治せばよくなることになります。
肺は、辛いものによって栄養され、肺が弱っているときには、辛いもので補います。
水の要素には、冬という季節が割り当てられ臓腑は、腎・膀胱となります。腎は、耳や骨を管理しています。難聴や骨が弱くなるのは、腎が弱くなっておこるとされています。
年齢を重ねてくるとまず、腎が弱くなり、その結果、耳や骨のトラブルが多くなるのです。
腎は、鹹いもので栄養され、腎が弱っているときは鹹いもので補います。
五行論は、病気を見る際、治療薬を考える際の1つの指標となることもあります。
ただ、五行論自体は、病気を治すためだけのものではなく、中国古来の自然哲学の理論で本来、治療とは関係がありません。古代の漢方家が、漢方の治療に応用していたにすぎません。
そもそも、すべてのものを5つの要素にわけて説明しようとすること自体に無理があります。
ヘタをすると占いのようになってしまいます。しかし、ときには、当を得ていることもあり、使い方によっては病人の体質を判断する際のツールとして役立つこともあります。
病院で血液検査だけで病気を診断しないように漢方的体質判断を行う際に五行論だけで体質を判断できません。したがって五行論だけで、漢方薬を処方できません。五行論はあくまで体質判断の四診の補助として1つの体質判断の情報として扱うものなのです。