漢方治療の期間
〜悩まされている期間〜
漢方は長い間、飲まないと治らないという印象があるようです。
これは、あっているようであっていない考え方です。漢方薬も急性病や、慢性病に使用します。
漢方治療の目的は、その場、その場の症状を抑えることではなく、バランスの崩れた部分を漢方薬で調整することによって、結果的に不快な症状がなくなります。
治療期間は、まず第一にどれだけの期間、バランスが崩れていたか。つまり、体調が悪くなってからどれだけの期間がたっているかによります。
体調が崩れてから2,3日(風邪や急性の下痢など)であれば、1日で治ることもあります。反対に体調が崩れてから何ヶ月もたっていれば、バランスを整えるのにも時間が必要です。
なぜなら急激な御身体の変化(治療効果)に生体リズムがついていけないからです。
これは、トレーニングに例えることができます。何ヶ月も運動をしていない方が、いきなり10キロ走ったり、20kgのダンベルで筋力トレーニングをするとどうなるでしょうか?
まず、次の日は、動けないくらいの筋肉痛、下手すれば、筋や関節を傷めて、トレーニングする前より悪くなります。
体調が悪い状態というのは、以前の健康体とは違って、バランスが崩れ弱った状態です。
それを漢方薬で少しずつトレーニングするようにバランスのとれたよい環境をつくるのです。いきなり、強いお薬だと御身体がついていけずにかえって負担になるのです。
〜治療期間と体質〜
漢方には、陰証と陽証と呼ばれる体質があります。
陰証と陽証の方には、使用するお薬も変わってきます。
陽証は、急性的な症状で体力があり、感じる症状が激しい体質の方をさします。
陽証の方は上記からいきますと陰証の方より、より強いお薬が使えて治癒もはやくなります。
陰証は、慢性的な症状で体力がなく、感じる症状も鈍く続くような体質の方をさします。
陰証の方は陽証の方より、より穏やかなお薬を使用し、強いお薬はかえって御身体の負担となります。治癒もゆっくりです。
ですから、漢方の治療期間は、僕が決めるのではなく、患者さんの体質が決めるのです。
漢方治療は、不快な症状をその場だけ止めるものではありません。お薬がなくなれば、また症状を繰り返すようでは意味がありません。二度と同じ症状に悩まされないように再発しない体質づくりをすることが目的です。
ですから、症状がよくなってきてからが本当の再発しない治療です。表に出ていた症状がなくなっても、身体の中はそう簡単に変わりません。いきなりお薬をやめるのではなく、少しづつ、漢方薬に頼らなくても自然治癒できるようにするのです。
〜実際の治療期間〜
僕の経験上、2年間の不妊症の方で4ヶ月間の治療で妊娠。
3年間、大人ニキビで悩んだ方が3ヶ月でニキビがなくなり、10年たった今も再発していません。
2年間、蕁麻疹で苦しんだ方で8ヶ月の治療期間で現在のところ再発していません。
ただし、年齢も関係します。
漢方治療は、ご自身の自然治癒力と関係しますので、年齢が若いほど治療期間も短くなります。1歳児の蕁麻疹では、3日間の漢方治療で、1年経過した現在も全く一度も症状が再発していない例もあります。
〜漢方の治療期間のまとめ〜
その際、じょじょに飲む量を減らしたり、場合によっては、治療 によって変化した体質にあわせて漢方薬を変更します。
漢方の治療期間は、僕でもあなたでもなく、体質や飲み始めてからの変化によって決まるのです。